昼にビール、あるいはアイスクリーム(ふつうエッセイ #506)

まだ20代だったとき、健康診断後に半休をとったことがある。

血液検査で血を抜かれ、空腹にも耐えながら、五反田駅近くの沖縄料理のお店に入る。

定食に加え、海ぶどうと生ビールを注文した。周囲は午後も働く会社員がほとんど。ちょっとした背徳感を抱えながら、ジョッキ2杯分のビールをたいらげた。

平日昼に飲むビールは、美味い。なんであんなに美味しいのか。背徳感だけで、ここまで味が変わるものか。人間の味覚なんて、アテにならないものだと思う。

もちろん通常の平日に、軽々しくビールを飲むわけにはいかない。(日常的にビールを飲むビジネスパーソンがいたら、それは何かしらの中毒を疑った方が良い)

代わりといってはなんだが、ときどき、アイスクリームを食べる。

アイスクリームは、ビールの代わりにはならない。だけど、普段食べないアイスクリームを食べているという状況に、ほんの少しだけ酔うことができるのだ。

12月から今まで、全力で駆け抜けてきた。たぶん2月も、信じられないくらいの作業が待ち構えている。

だから、今週どこかで、ちょっと背徳感を味わいたい。アイスクリームよりは、できればビールが良い。今週は冷えるらしいけれど、いささかもビールを飲まない理由にはならないのだ。