凡庸だから作れるオモロさ。商売として突き抜けた先にあるもの(GOZEN代表 布田尚大さん・後編)

そもそも、何を解くべきなのか?

(出典:GOZEN)

関連セミナーに足を運ぶ中で、布田さんは、エシカルファッションを展開していた「INHEELS(現在は閉店)」に出会う。

布田「INHEELSは『Who said ETHICAL is not SEXY?』をコンセプトに掲げていました。ナチュラルでゆったりとしたシルエットの服が主流だったエシカルファッションにおいて、『六本木のクラブにも踊りに行ける服を作ろう』という、かなり異質な方針を立てていたんです。一定の成果を経てクローズしましたが、刺激的な日々を送っていました。
現在もエシカルには関わっていますが、年々文脈が変化していくのが興味深いんです。ファッション、アート、SDGs。既存の価値をどう整理して、未来に向けて提示していくか。そんなことを常に考えています」

エシカルだけどクール。ネパールのフェアトレード工場で、ユーカリの木から由来した100%天然素材を使って服を作るなど、美しさと正しさの両面にこだわったINHEELS。
製造者がダイレクトに消費者と取り引きをする、いわゆる「D2C」という言葉すらなかった時代に、どう商売として突き抜けていくか布田さんは徹底的に考えた。その原点は高校時代にあったという。

布田「高校生のとき、友人から『本当の勉強というのは、何を解くべきなのかを考えることだ』と言われたことがあります。僕は勉強といえば、学校や受験で出題される問題を解くことだと思っていました。でも、勉強の本質というのは、『何を解くべきか』を考えることから始まる。彼の言葉は、僕の価値観をガラッと変えてしまいました」

GOZENは今後どんな道のりを歩むのか。ちなみに布田さんは、株式上場は考えていないそうだ。

布田「ソーシャルM&Aを謳っているGOZEN自体を、最終的にM&Aできたら『オモロい』と思うんですよね。例えば、どこか大手の会社の一部署みたいな形になって、より大きな仕事に携われるようになるかもしれない。企業にとっても、いまある事業とシナジー効果が期待できるGOZENは良いきっかけを生めるはずです」

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