20代はずっと悩んでいた。飛び込んだ芸能界で味わった葛藤の日々(俳優 黒澤リカさん・前編)

コロナ禍になって3年目に突入する。
メディアでは、ダメージを受けた業界の悲哀が毎日のように報じられているが、エンターテインメント業界においても例外ではない。夏の風物詩として定着した野外音楽フェスティバルは軒並み中止に追い込まれたし、2021年春には、東京都によって映画館が休業要請される事態となった。

俳優・黒澤リカさんも「軒並み仕事がなくなってしまった」と振り返る。当然のことながら、仕事がなくなれば収入は得られない。危機的状況の中で、黒澤さんが得たのは「私は俳優の仕事を続けていける」という確信だったという。

前編では、黒澤さんが俳優になるまでの経緯を中心に話を伺った。「ふつう」に働く友人を羨ましいと感じるなど、芸能への思いは、常に現実との間で揺れていた。

黒澤 リカ(くろさわ りか)
高校生のときからテレビ出演を経験。大学卒業をきっかけに本格的にタレント活動を開始、現在は俳優として活動中。主演作「恋がする」(監督・ヒエダアズサ)が大阪アジアン映画祭で入選を果たす。

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コロナ禍で、全ての仕事がなくなってしまう

取材を行なったのは2021年11月。まずはコロナ禍の近況について伺った。

黒澤 リカさん(以下、黒澤)「大変だったというか……。予定していた仕事が全てなくなってしまいました。2020年3月に感染者が出てしまって、撮影予定が延期になり。再開予定のタイミングで緊急事態宣言が出てしまい、そのまま全部止まってしまったんです」

撮影再開後も、感染予防対策の対応に追われる現場は慌ただしかった。それでもウィズコロナが続く現在に至るまで、黒澤さんは俳優を続けている。

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