失くす、忘れる(ふつうエッセイ #478)

大事なものを失くすとき、それは本当にうんざりするくらい、一切の前触れがない。

ちょっとくらい、失くす予感を与えてくれたら、予め「ああ、僕はこいつをそろそろ失くしてしまうんだな」と心の準備をすることができる。もちろん失くさないに越したことはないけれど、大事にしていたものは、ほんとアッサリ消えてしまうんだよなと悲しくなる。

でも、失くしたものというのは、そのとき心の痛みは発生するけれど、具体的な何かが損なわれるということではない。余計な出費が発生するわけでもない。サンクコストというやつだ。

だから、それをウダウダ言っていても、あまり意味がないわけで。

失くす、忘れる。

そういった物事からは、すぐに切り替えられた方が、何事も好転するのは間違いないのだけど。

そうもいかないのが、人間の性なんだよなあ。