負けない心(ふつうエッセイ #472)

映画「THE FIRST SLAM DUNK」の15秒CMの最後に、「ただ、負けたくなかった。」というテキストが出てくる。

「ただ、勝ちたかった。」ということもできる局面で、あえて映画関係者(監督を務めた井上雄彦さんを含む)は、「ただ、負けたくなかった。」というテキストを選んでいる。

勝ちたい
負けたくない

同じ意味では、決してない。

でも人は、どういうときに「勝ちたい」と思い、どういうときに「負けたくない」と思うのだろうか。そして、それがどんな局面でプラスに、あるいはマイナスに作用するのだろうか。

映画で、桜木花道や流川楓を擁する湘北高校は、強敵と対峙するにあたり「ただ、負けたくなかった。」と思ったのだろうか。それとも主人公が、自分の人生において「ただ、負けたくなかった。」と思ったのだろうか。

言葉ひとつなのに、解釈は多岐にわたる。勝ち負けを「たかが」と捉える人もいれば、それが人生の全てだと断言する人もいる。無論、「ただ、負けたくなかった。」という言葉は、後者の人間に響くだろう。

映画における、言葉の行方。それが知りたい方は、ぜひ映画館に足を運んでほしい。