天気のこと(ふつうエッセイ #347)

晴れ男とか、恵みの雨とか、人間の都合と天気を無理やり繋げがちだ。

いくら徳を積んだところで、天気をコントロールすることはできない。急に雨が降るわけではなく、気温や気圧、雲の動きなどによって天気は決まる。そんな当たり前のことを度外視して、「おれが来たから晴れたんだよ」なんて堂々と言えるのは、なかなか滑稽だともいえる。

止まない雨はない。

これだって、天候上「そりゃそうだ」ということだ。(新海誠さんが監督を務めた「天気の子」では、ずっと雨が降り続ける社会が描かれているが、幸いなことに、いまの社会では「止まない雨はない」ということが前提になっている)

なのに、悪いことは続かないよ、だって人間は良いことだってしているんだから。なんて文脈と、2, 3日降り続く雨を繋げてしまうのだから、なかなか笑ってしまう。

冷静に考えれば笑止千万な事案だけど、かくいう僕だって、つい日頃の行ないと天気の良し悪しを繋げてしまっている。脳内に刷り込まれているのだろうか。流れる雲を見ながら、明日の天気を予測する冷静さを保ちたい。思い込みや直観でなく、先人が獲得してきた知恵を味方につけていたいものだ。