高速バスが、好きだ。(ふつうエッセイ #281)

今年から、1年かけて長野県富士見町で開催されているワークショップに参加している。価格とアクセスのしやすさを鑑みて、いまのところ高速バスで移動することが多い。(新宿から、富士見町近郊まで乗り換えなしで運んでくれる)

高速バスが、好きだ。

飛行機、新幹線、特急電車の場合、サラリーマンらしき人の姿をよく見かける。一方で、高速バスの場合は、もうちょっと生活を感じるというか、やはり安い価格帯で移動したいと思っている人たちの姿を認めることができる。

富士見町から、帰りの高速バスに乗ると、きっと東京某所でライブなどに参加しそうな若い人たちがいたりする。あるいはディズニーランドに行こうとしているのか。観光気分だから、途中で立ち寄るサービスエリアでは、アイスクリームを買おうとして出発時間ギリギリまでバスに戻ってこないなんてこともある。

高速バスは、渋滞の可能性もあるから、時間にきっちりしたい人は不向きの乗り物だ。だからちょっとくらいの遅れに、あまりめくじらを立てる人はいない。

まあ、仕方ないやな。

そんな感じで、のんびりと高速バスは日本中を駆け巡る。

隣の見知らぬお客さんと喋るなんてことはほとんどないけれど、なんとなく存在を感じながら、時間を潰す過ごし方も趣がある。彼(彼女)はどこに行くんだろう。ときどき想像したりする。

公共インフラである道路を、民間企業の高速バスが、乗客を乗せて走って行く。

いいなあ、便利だなあ。

高速バスみたいな存在を、僕は愛おしく感じてしまうのだ。