FROM PORT OF KESENNUMA(ふつうエッセイ #280)

雨が降ったり、止んだりする仙台で喫茶店に入る。

仙台駅周辺は、どこにでもあるチェーン店があるけれど、少し外れると色々な喫茶店があるのが面白い。敷居の高そうなお店をスキップして、カジュアルな佇まいのお店へ。マグカップには「FROM PORT OF KESENNUMA」と書いてある。

店の外が見えるカウンター席に座っている。

外の景色は、なんてことない。全国どこでも同じようなロードサイドの姿だ。日産、トヨタ、スズキ、ホンダ、ホンダ、スバル、トヨタ……。見慣れた車が行き来する。たぶん、仙台の仙台らしさを感じるためには、対話的なアプローチが必要なのだろう。今回の滞在では、そこまでじっくりと時間を設けることができない。

でも、「FROM PORT OF KESENNUMA」のコーヒーは、なかなか東京で味わえない。コーヒーの専門家ではないから、味の違いを明確に感じられないけれど、気仙沼という土地は頭に過ぎる。そんなコーヒーの嗜み方も悪くない。

窓際から、道を歩く人たちの姿が見える。

普段から、仙台の空気を吸っている人たちだ。やっぱりここでも、みんなマスクをしている。キャップをかぶっている少女、歩きタバコをしている初老、茶髪の若者たち。たぶん観光客ではない。ここで生活している人たち。

彼らは、この日曜日をどう過ごすんだろう?

これから映画でも観に行くのだろうか。美術館だろうか。仲間同士で取り留めない会話を楽しむのだろうか。まさか銀行強盗する人はいないだろう。

あ、AC/DCのTシャツを着た20代くらいの女性が歩いている。

AC/DC、いつも聴いてるんだろうか。

さて、休憩時間も終わり。そろそろ「TEDxTohoku」が開催されている、せんだいメディアテークに戻ろうと思います。