爪切りの頻度(ふつうエッセイ #231)

爪は、1日あたり約0.1mm伸びると言われている。

昔は「1週間に一度は爪を切るように」と指導されてきたような気がするが、最近、どうも1週間に一度というのは適切でないように思えてきた。

個人差はあるだろうが、僕は4日に一度くらいの割合で爪を切るようにしている。

一番の理由は、爪が伸びると、キーボードのタイピングがしづらくなるからだ。

タイピングしない日はないといっても過言ではない。20年前と比べて、圧倒的にパソコンを使用する人は増えている。いつの間にかブラインドタッチも当たり前のスキルとして見なされるようになった。(「スキル」という言葉が不適切なくらい「ブラインドタッチなんてできて当然だよね」と思われている)

結果として、指先の繊細さというか、指先がどう感じるかという機会が増えていく。爪をきちんと切っていないと、明らかに仕事に支障が出てしまうわけだ。

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そして「4日に一度くらいの割合で」と書いたが、これはなかなか厄介なものだ。

昔は1週間に一度だったので、日曜日の夜、風呂上がりに爪をパチパチ切れば良かった。そこでルーティンを組みやすかった。

だが4日に一度というサイクルになったことで、曜日固定ができなくなった。月曜日に爪を切れば、その次は金曜日となる。金曜日の次は火曜日に、その次は土曜日という感じで、時間の間隔を認識しないといけなくなったのだ。

その間隔を見失うと、途端に、仕事に支障が出るような爪の長さになってしまう。

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もしかすると、僕が気にし過ぎなのかもしれない。あるいは僕の爪がわりとすぐに伸びてしまっているだけかもしれない。

だとしたら、まるで見当違いのことを書いてしまっていて恥ずかしいわけだが、考えてみれば、他人の爪がどれくらいのスピードで伸びているかを知る由はない。同様に、タイピングにおいて指先の重要度について自信をもって共有できるのかといえば、そんなことはない。

他人の爪のことなんて、まるで分かっちゃいないのだ。

でも、ふとしたときに、他人の爪が見えてしまうと、そこに色々な情報が詰まっているのは確かだ。マナー教室などでよく言われていること(らしい)が、爪が伸びていると相手の心証は悪くなるという。確かに、僕の想定を超えて爪が長くなっている人のことは、なかなか受け入れ難い。受け入れ難いというか、「そんなに伸びていて大丈夫なのか?」と思わざるを得ない。

爪って、なかなか難しい。

相手の爪をじっくり見る機会だってあるわけじゃないし、まして、相手の爪に触れたという感覚を持つこともない。

1週間に一度にせよ、4日に一度にせよ、定期的に爪を切っているというのに、なぜこんなにも爪のことを知らないのだろうか。

突き詰めて考えてみると、なかなか興味深いなあと思うのだ。爪だけに。