いちごのヘタ(ふつうエッセイ #634)

最近、やめたことがある。

僕はこれまで、ふたりの息子にいちごを出すとき、ヘタの部分を包丁で切っていた。白い部分は甘くない。せっかく好きないちごだから、甘く、美味しいままで食べてもらいたいと思っていた。

それを、やめた。

ヘタの周りには栄養がある。といった理由ではない。ただ単に、面倒だったからだ。いちごのヘタなど、グイッと捻ればすぐに取れる。それくらいでいいだろうと思ったのだ。これまでの僕の対応は、過保護だったのではないか?と。

そのまま出したところで、ふたりの息子は、いちごの奪い合いをするくらいモグモグと食べてくれている。それで良い。それで十分、いちごは、いちごの役割を果たしてくれたはずだ。

調べてみると、いちごのヘタは食べられるらしい。

え?38年間、僕はいちごのヘタは食べられないものだと思っていた。

ヘタにも栄養があるということで、よく洗ってから、試しに食べてみる。美味くはないけれど、変な味がするわけでもない。これで百年生きられるなら御の字だ。

これも食わず嫌いのひとつといえるだろう。食べられないと思っていたもの(大根の葉っぱとか)が、実は食べることができる。いちごのヘタ。生まれてから38年間、僕はどれだけ多くのヘタを無駄にしたことか。

たかがヘタ、されどヘタ。

ごめんねヘタくん。これからはモリモリ食べるから、許しておくれ。