私は生まれてから37年間、
生きることを続けています。
それは20歳になる頃までの私にとって、簡単なことではありませんでした。
【仕事編】に書いた「介護」を、私は幼少期から経験しました。
祖母の介護の必要な量が増えていくにつれて、祖母自身や家族や親戚が苦しんでいくのを見るようになりました。最終的に祖母は介護施設で亡くなりましたが、それまでの経験を経て、私は大きな葛藤を背負うことになりました。
「可愛がってくれたのに、一生懸命生きてきたその祖母の最期の時期に、私は何もできなかった」
普通に考えたら子供の私は何もできなくて当たり前ですが……当時は、もっとできたことがあったのではないかと思っていました。
葛藤は少しずつ重なっていき、ついには、私は何のために居るのか、よくわからなくなりました。
気が付けば、学校に行けなくなっていました。
あと1時間休んだら、義務教育を留年してしまうほどの不登校になっていました。
1歩外に出ると、常に鎧を身につけているような緊張感がありました。自分自身を大切にできなければ人にもそうすることもできず、コントロールが難しい状態でした。呼吸すら安定してできないことがあり、当時はストレス性の病気にも罹患しました。
周りの同級生は、追いつけないほどに、どんどん先に行ってしまいました。
比べられるところに人がいないので、人と比較することもなくなりました。
*
何ひとつまともに人並みにはできないと考えていた私が、救われていたこと。
それは、
【Vocal編】に書いた歌を歌うことです。
歌を歌っている間は、鎧が自然に外れて緊張感が取れ、だんだんと力んでいた身体をほぐすことができました。
歌い終えてしばらくすると、またすぐに緊張してしまうといった繰り返しでしたが、その瞬間だけは救われていたように感じます。