20代はずっと悩んでいた。飛び込んだ芸能界で味わった葛藤の日々(俳優 黒澤リカさん・前編)

芸能の道へ、迷ってばかりの20代

高校時代、通学しながらモデルやタレントの仕事をしていた黒澤さん。女子高生として玩具メーカーの製品開発に携わったり、テレビ出演を果たしたり。関西の大学に進学後も、芸能への思いは消えなかったという。

黒澤「大学3年で全ての単位を取得し、実家に戻りました。就職を視野に入れて、インターンなどもしていたんですが、芸能への思いを捨てられずにいたんです。最終的には『ダメだったら就職すれば良い』と、芸能の道へ進むことを決めました」

本格的に芸能の世界に飛び込んだ黒澤さん。初めの頃はタレントとして様々な仕事にチャレンジした。スポーツチームのレポーターを務めたり、バラエティ番組に出演したり。ユニットを組み、海のステージでパフォーマンスするアイドル的な仕事もこなしたという。

順調かと思いきや、黒澤さんは「OLになった方が良かったかな」と迷いがあったと打ち明けてくれた。

黒澤「20代の頃は、ずっと芸能の仕事を続けるか、諦めて就職するかで悩んでいました。幸いお金の心配はなかったんですが、タレントとしての仕事にはリミットがあると感じていたんです。年齢もそうだし、常に元気や明るさを求められる環境に戸惑いを感じていたんです。休憩中でも、周囲のスタッフの皆さんと明るくコミュニケーションをとった方が良い……いつまでこの仕事を続けられるのか不安でした」

「ボーナスが出た」という友人に羨ましさを感じ、安定した収入源を求めた黒澤さん。一時的に、知り合いの企業で働いたこともあったそうだ。

そんな中、立て続けに演技の仕事のオファーを受けた。指示されるがままの現場だったが、漠然と「お芝居って良いな」と思えたそうだ。

黒澤「現場では、とにかく役を演じ切ることだけが期待されていました。要は私のパフォーマンス次第ということで、それが魅力に感じたんです。撮影のとき以外は、本を読もうが寝ていようが、文句は言われません。映画も好きでしたし、少しずつ、お芝居をやっていこうと思うようになりました」

1 2 3