本を並べる(ふつうエッセイ #197)

本の並べ方、流派が存在するのでは?と思うほどに、並べる者のこだわりを垣間見ることができる。

作家順に並べる
本の判型で並べる
関連のあるテーマで並べる
本のタイトルで並べる
本の色で並べる
気分によって並べる
あえてランダムに並べる

そもそも並べない、という選択をする人もいる。床にうずたかく積み上げる人は、それはそれで何かの哲学がありそうだ。

個人の本棚であれば、並べられている本の間から、ちょっと昔に挟んでおいた書類が発見されることもある。あ、こんなときに挟んでいたんだっけ?

並べる、の英訳はarrageである。アレンジとは、それこそ色々な意味があるが、調整とか整えるとか、そういった印象を強める言葉ではないだろうか。

並べるという行為は、本を整えること。

たしかに、新たに並べられた本は、それまでの本とは違った顔を見せることがある。1冊では魅力が感じられなかった本が、村上春樹とカポーティに挟まることで、なんだか不思議な魅力、必然性が感じられたりする。

かくして、今宵も本を並べ直してみようか。本棚を肴に、日本酒が美味しくなったりするかもしれない。