【付かず離れずの親友】日本酒(小波季世さん #2)

日本酒で世界を旅する

直接その土地を訪れることは叶わずとも、アンテナショップに行けばひとときの旅行気分を味わえる。今ではパリやハワイで作られた日本酒にも出会える。

あの土地にはこんなお酒があって、こんなお酒を造っている人たちがいるんだ。いつか会えるかな。会いたいな。そんなことを思ったり思わなかったり。

毎日日本酒を飲むわけではないし、今まで十分すぎるくらい日本酒を飲んできた。だからその存在はもはや旧知の親友のようなものだ。しばらく連絡を取り合わなくても、まるで昨日も会っていたかのように再会できる相手。

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とはいえ、いつもこんなくどくどとしたことを考えているわけではもちろんない。

おいしいお酒かどうか、それを飲みたいかどうか。そして何よりも、そのお酒を一緒に飲む誰かといるその時間がより楽しくなるかどうか。それに尽きる。

これを読んでくださった皆さんがおいしい日本酒と巡り会えますよう、そしていつか、世界のどこかで一緒に乾杯できますよう、願いを込めて。

*本記事では法律的な「日本酒」の定義にはあえて触れず「日本酒」について語らせていただいています。
*参考文献『ようこそ文化人類学へ 異文化をフィールドワークする君たちに』川口幸大著(2017 昭和堂)

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