いつもより機嫌が良い(ふつうエッセイ #179)

「今日は、変わらないですか?」

毎朝、保育士さんから聞かれる質問だ。体調や気分など、家での子どもの様子を伝え、お願いしますと言って僕は仕事に向かう。

毎日聞かれる質問で、だいたいは「変わらないです!」とか「今日も元気です〜」とか答える。「昨日ちょっと寝る時間が遅くて眠そうです」なんて答える日もあるけれど、長く通っていると、やり取りは定型化するものだ。

今朝も、同じように「今日は、変わらないですか?」と聞かれる。

なんとなく「いつもより機嫌が良いです!」という言葉が口をついた。

保育士さんも少し驚いていたけれど、すぐに笑顔になってくれた。朝から笑顔を見れるって嬉しいものだ。

*

自分で言った言葉だが、「いつもより機嫌が良い」とはなかなか素敵な言葉ではないだろうか。

機嫌が良い、が、もともとポジティブな言葉だ。それに「いつもより」という強調の修飾語が添えられる。それだけで、実にハッピーに溢れた言葉ではないか。1日をすごく楽しく過ごせそうな予感がする。

翻って、「いつもより機嫌が良い」ことが、最近僕にはあっただろうか。

そもそも「機嫌が良い」という日も、あまり思い浮かばない。機嫌の良し悪しを殺して、なるべく浮き沈みがないコンディションを目指していたという説もある。

それはそれで悪いことではないけれど、何とも味気ない人生だ。

機嫌が悪いと周囲は迷惑だけど、とびきり機嫌が良いときがあれば、周りを明るくすることができる。ややウザいけれど、最近、とんとウザい人を見かけなくなったような気もするので、ちょっとくらいなら許容されるはずだ。

いつもより機嫌の良い日。

もしかしたら、今日が、そんな価値ある1日なのかもしれないね!