28歳、東京(鈴木ゆうりさん #4)

3つのエピソードを綴らせていただいたこのシリーズも、これが最終回になります。
長いようで短い、あっという間の4週間でした。

今日は満を持して、“愛”を直接、紐解こうと考えています。

* * *

さて、この連載では、ボリビア、モロッコ、アルゼンチン、ウルグアイでのエピソードを紹介しました。どれも生涯忘れることはないであろう、素敵な記憶です。
このエピソード以外にも、たくさんの人との出会いで心のアルバムは埋まっています。

人生で47の国を旅してきました。先進国、発展途上国を問わず、オーストラリア以外の大陸において、この足を動かして歩きました。その中には日本より遥かに貧しい国も当然あります。頭に蛆が沸いている死にかけの人が路上で倒れている国も、土を掘ると骨が現れる国もありました。

それでも、どの国でもたくさんの人に助けられて、わたしは今、この文章を綴っています。

“愛”とは“想像力”なのではないだろうか。

そう思い浮かんだのは、わたしを助けてくれた人、時間を共に過ごした人の姿、形を目の裏側に再現させたときです。

わたしを心配する顔、なんとかして助けてくれようと努力してくれる姿、わたしが安心するように言葉を選ぶ様子、わたしの旅路がより良くなるようにと祈る瞳。目の前の人間をどうやって笑顔にしようかと想像する力、それこそが“愛”なのではないか。

思い至ると目頭に熱が溜まって、涙が溢れそうになりました。わたしはとても“愛”されていた、その事実を途方もなく愛しく感じて、この“愛”だけでご飯が食べられる気さえしました。

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