兄弟と姉妹(ふつうエッセイ #132)

男だけの兄弟の中で育ったため、あまり意識していなかったが、世の中には様々な兄弟姉妹の組み合わせがある。

兄と弟なら兄弟(きょうだい)
兄と妹なら兄妹(けいまい)
姉と弟なら姉弟(してい)
姉と妹なら姉妹(しまい)

これだけではなく、例えば自分、弟、妹という場合に、弟と妹を指すときは弟妹(ていまい)と表現になるのだそうだ。

無自覚だったせいか、兄弟姉妹以外の言葉は、日常生活で聞くことがなかった。これからは意識して耳を傾けたい。

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関係性の高さを示すときに、兄弟姉妹がメタファーとして用いられることがある。

例えば弟子。本当の兄弟ではないのに、師匠と弟子という関係性は、先輩後輩という間柄よりも絆の強さを感じる。別に師匠と弟子の関係だったからといって、絆があるとも限らないのだが、言葉のイメージが象徴するものは確かにあるよなと感じる。

姉妹都市という言葉もある。都市そのものに人格はないのだが、「この都市とは友好的な関係を結んでいますよ」という証明として、兄弟姉妹のメタファーが用いられる。実際に相互に交流があったり、特産物を送り合いしていたりするので、名ばかりの交流ではないのが大半だろうけど、じゃあどっちが姉で、どっちが妹なんだよと問うたら、閉口されてしまうんじゃなかろうか。

兄弟も姉妹も、生きている年数が少し違うからといって、そこに上下があるわけではない。

僕は三人兄弟の長男だけど、よほど弟たちの方がしっかりとした性格である。

多種多様な兄弟姉妹があるのは承知しているけれど、もうちょっとフラットな言葉を作ることはできないだろうか。「お兄ちゃんだから」とか「末っ子だから」とか、暗黙的に想起されるイメージは、ときどき人となりを見極める上で邪魔になる。

フラットでありたい。実際、フラットな関係であるべきなのだから。