人生を高円寺でやり直す──コロナ禍で手放した「自分」という価値(高円寺で暮らす優莉さん・その2)

コロナ禍でもう一度人生をやり直すため、高円寺に戻ってきた

優莉さんがメンバーとして関わっている株式会社銭湯ぐらし。コロナ禍オープンとなった複合施設「小杉湯となり」の運営に加えて、ECサイト事業立ち上げも担当することになった。

「ECは、数値でロジックを積み上げていく仕事です。効率が最優先なので、情緒的なコミュニケーションをなるべく発生させないよう仕組み化することが大切です。少し前の自分には、考えられないような仕事だなと思います」

EC事業を立ち上げ、仲間と共にせっせと梱包に励む

そして2021年4月、優莉さんは高円寺に1年ぶりに帰ってきた。イタリア行きのために高円寺を離れたが、「私の現場はここ」と気付いたのだという。

「アソボットと銭湯ぐらし、それぞれの仕事を続けていく中で、​​もう一度人生がやり直されているような感じがありました。一時的に麻痺していた「右手」の感覚も戻ってきました。そんなとき、無性に高円寺に帰りたいと思ったんです。自分にとっての現場を取り戻すことができたんです」

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