そば湯が好き(ふつうエッセイ #74)

そば湯が好きだ。

蕎麦も好きだけど、食後に楽しむそば湯も趣きがある。

めんつゆと割って飲むのも美味しいが、ストレートで飲むのも良い。ちょうど良い温かさで、二日酔いのときに飲むと身体が落ち着く。実際にそば湯は身体に良いらしいので、毎日でも飲めたらなと思うほどだ。

そば湯の万能感を、日常のメタファーとして置き換えてみるとどうだろうか。というか、こんなに万能なのに、慣用句の1つにもなっていないのが不思議である。

犬も歩けばそば湯に当たる
そば湯は温かいうちに飲め
時はそば湯なり
花よりそば湯

すごい。既存の慣用句にそば湯のエッセンスを加えただけで、十二分に活躍しそうなポテンシャルを持っている。やっぱり、そば湯はすごい。

そば湯はなぜ美味しいのだろうか。

そりゃもちろん、そばからの出し汁だから。というのが1つ大きな理由だ。それに加えて「お湯」であることも見逃せないポイントのような気がしている。健康志向の方でもない限り、お湯を好んで飲む人はいない。だけど白湯は内臓にも良く、朝もしくは夜に飲むと身体がじんわり温かくなる。

この2つが合わさり、そば湯になる。

天は二物を与えるなあと思う。

そば湯を毎日飲みたくて蕎麦屋さんになるという人がいる、というのは僕の作り話だけど、あながち間違いではなかろう。

ほら、だんだん、そば湯が飲みたくなってきたでしょう?

今宵はしっぽり、お蕎麦でお腹を満たしましょ!