シールを貼る(ふつうエッセイ #9)

子どもというのは、シール好きという特徴がある気がする。

僕の息子も多分に漏れず、シールを手に入れると、ありとあらゆる場所に貼っていく。

賃貸住宅の部屋で、部屋の至るところに貼っていく。「上手く剥がせなかったらどうしよう…」という風に思い始めるとキリがないので、退去日までは気にしないフリをしている。

シールは市販のものだけでなく、ペットボトルについているような、なんちゃらキャンペーンを知らせるものなど、何でも構わないようだ。部屋中にPayPayのキャッシュバックだらけになっている。PayPayやってたら、さぞかし小金持ちになっていたのではないだろうか。

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少し前に、絵本作家・ヨシタケシンスケさんの非売品シールを手に入れた。メルカリでは数百円で売られていて、それなりに価値があるものだ。

そんな場合でも、息子は躊躇がない。「そんなところに!」という場所に、一気にシールを貼ってしまった。

ちょっとずつ使う、ということは、まだできない年頃。

だけどその思い切りの良さに、大人の僕も胸がスッと軽くなるのである。