突然の閉店(ふつうエッセイ #706)

閉店や営業終了には、様々な理由がある。

いち零細企業の経営者に過ぎない僕だが、小さいながらも会社を2年経営して、本当に色々な理由で「やめる」決断をする経営者がいることが分かった。

僕は会社員(あえてサラリーマンという言葉を使おうか)の時代が長かったので、経営者に対して、人並みに「むかつく」という思いを抱いてきた。

彼らは現場を知らない。
知ろうとしない。
数字ばかりを見て判断する。

みたいなことに、憤ってきた。もちろんそういう経営者ばかりでないことを知っているが、ポジティブよりはネガティブな感情の方が、本音ベースでは多かったように思う。

経営者になり、そのパラダイムシフトが起こったとは言い難いが、サラリーマンのときには感じなかった、資金繰りの苦しさは初めて実感したポイントだ。お金がなければ何もできない。正確には、何かに挑戦しようと思う気持ちにならない。そういった「Hard Things」があることを僕は全く知らなかったし、知ろうともしなかった。

翻って、馴染みの店が突然閉店してしまうことについて。

やっぱり悲しい。何かあったのかな?と勘繰ってしまう。そういった話を聞けることよりは、聞けないことの方が圧倒的に多い。「お疲れ様でした」くらいは言えるときは言うけれど、閉店の理由を尋ねることはほとんどなかった。

色々な、理由がある。

その色々を察し、労うこと。でももうちょっと、何か尋ねる(ask)こともできたのではないか。

そんなふうに思いつつ、ほんの少し不便になった現状を憂いている。でも、悲しいかな、こういった不便にも慣れてしまうんだよな。

そのこと自体、悪いことばかりではないのだけど。