すべての起業家に出口を示す。GOZENが見据える美しい経済のナガレ(GOZEN代表 布田尚大さん・前編)

ソーシャルM&Aは、あなたの周りの困りごとを解決する救世主かもしれない。

2022年にソーシャルM&A「GOZEN」の新事業を始めた布田尚大さん。第一弾案件として、ハヤカワ五味さんが手掛けているD2Cランジェリーブランド「feast」の事業売却に成功。ユニークなのは、売却益の一部がNPO法人に寄付されたことだ。

コンセプトに掲げるのは、「美しい経済のナガレを生み出す」というもの。前編では「そもそもソーシャルM&Aとは何なのか?」という問いを皮切りに、GOZENが目指す世界の一端を記している。

布田 尚大(ふだ なおひろ)
東京都生まれ。2013年より、エシカルファッション領域で活動を開始。以降、ファッション・小売・エンターテイメント領域など様々なプロジェクトに参画。2022年7月に、ソーシャルビジネスやスモールビジネスに特化したM&A仲介サービス「GOZEN(ゴゼン)」を開始する。

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「きれいごと」だけでは成り立たない、スモールビジネスを支えていく

2013年からソーシャルビジネスへ関わりを持ち始めた布田さん。「社会に良いことをしているのだから、儲からないのが当たり前」という通説に違和感を抱いたことが、ソーシャルM&Aを発想した原点だ。

布田 尚大さん(以下、布田)「『SDGs』や『サステナブル』といった言葉も知られておらず、ソーシャルベンチャーが世間から誤解されていた時期でした。働いている人さえ『儲けてはいけない』という意識もあったように思います。そのスタンスが、従業員の所得低下や過度な長時間労働を招き、業界全体の停滞をもたらしていました。
ソーシャルビジネスも、通常のビジネスと同じように利益を生むべきなんです。利益が出ていなければ、良い人材を集めることは難しいでしょう。ヒト・モノ・カネが循環する流れが必要だと思い、徐々に、ソーシャルM&Aという手段を見出していきました」

そこで布田さんが始めたのは、ソーシャルビジネスやスモールビジネスに特化したM&A仲介サービス「GOZEN」だ。第一弾案件として、D2Cランジェリーブランド「feast」の売却を発表する。売却前までfeastで代表を務めていたのは、デザイナー、経営者として活躍するハヤカワ五味さんだった。

布田「feastはバストが小さい方向けのランジェリーブランドです。『胸が小さいだけで、なぜこんなに悩まないといけないのか。可愛い下着を選べないのか』というハヤカワさん自身の悩みから生まれました。
いわゆるインフルエンサーとして知名度が高い彼女ですが、活動が多岐にわたることもあり、なかなか安定した事業運営ができていませんでした。なので経営だけでなく、事業責任者として実務面もサポートしていたんです」

スモールビジネスは「きれいごと」だけでは成り立たない。
真冬のある日、栃木県の発送センターにひとりで赴き、何十箱もある段ボールを開け、商品の検品作業を行なったこともあるそう。「いまでは笑い話ですが」と布田さんは笑うが、なぜそこまで関わろうと思えたのだろうか。

布田「彼女はブログやYouTubeを運営するだけで、十分な生計を立てられるんです。それでもあえて、困難を伴うビジネスの道を選んでいます。『ブロダクトにちゃんと落とし込んで、ビジネスをやる。それで社会を変えたいんだ』という意思が明確で。事業のためのリスクを背負うことを厭わない、そんなクリエイターとして、経営者としての姿勢に惹かれ、一緒に仕事がしたいと思いました」

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