無理をする(ふつうエッセイ #470)

「無理をする」とは、なかなか興味深い言葉だと思う。

本来は「できない(=無理)」はずなのに、強引に「できる」ことと見做す。

無理に対するリアクションは人それぞれで、「無理するな!」と言ってみたり、「時には無理をしてもやり切った方が良いよ」とアドバイスしたり。

でも、そもそも無理は無理なわけだから、どちらのアドバイスも「無理を無理と見做さない」という前提のもとで論旨が組まれているものだから、なかなか滑稽に感じてしまうのだ。

滑稽と言いつつも、やはり当事者からすれば「無理なんだけど、何とか無理(むり)をひっくり返して有理(あり)にしたい」なんて思っちゃうものだ。無理数は、逆立ちしたって有理数にはならないのに。

無理をする。無理なんだけど、それでも頑張る。でも、頑張ったからこそ、奇跡みたいなことが0.01%くらいの確率で起きたりするんだよなあ。そんな成功体験を持っているからこそ、無理(むり)を有理(あり)に、塗り替えようとしちゃうんだろうなあ。