プロジェクトマネージャー(ふつうエッセイ #589)

とある場所で、僕が新卒の頃の「昔話」をしていた。

2007年、まだみんながガラケーを持っていたとき。今は当たり前のように使われている言葉も、当時は当たり前ではなかった。

例えばプロジェクトマネージャーという言葉。こんな言葉あったっけ?と思う。最近は「プロマネやってます」なんて普通に聞くけれど、果たしてプロマネって、そんなに「普通」に語られる職能なのだろうか。

要件を見ると、なかなか仕事内容はハードだ。要件定義もするし、チーム編成のための予算も引っ張ってくるらしい。ディレクターだってしんどいのに、ビジネスプロデューサーの役割も担うなんて。僕には到底できそうにない。

なのに、なんでプロジェクトマネージャーをどこかしこで名乗っているのだろう。

もしや?なんて嫌味のひとつも出てきそうなものだけど、その言葉はグッと呑み込んでおくことにする。

でも、人間にはできることとできないことがあって。プロジェクトマネージャーって、役割的にはヒーローみたいなものだから、個人的にはあんまり名乗らない方が良いと思うのだ。だって、常人にはとても無理だ。その会社の社長だって、たぶん逆立ちしてもできないだろう。

企画屋とか、ディレクターとか、分相応の名乗り方がある気がする。企画屋やディレクターを下に見ているわけではなく、むしろ彼らのプロフェッショナルにはいつも感動するのだけど、「ここに至るまでのプロセス」は想像できるわけで。

プロマネという職能は、あまりに異次元すぎて、どうやりゃそこにいけるのか(しかも20代で)、全く意味が分からないのだ。

歳のせいだろうか。ジェネレーションギャップだろうか。

いずれにせよ、「プロマネ募集!」という言葉はちょっと危険な香りがするので、なるべく近付かないと堅く決意する僕なのであった。