凡庸だから作れるオモロさ。商売として突き抜けた先にあるもの(GOZEN代表 布田尚大さん・後編)

ソーシャルM&Aは、あなたの周りの困りごとを解決する救世主かもしれない。

2022年にソーシャルM&A「GOZEN」の新事業を始めた布田尚大さん。第一弾案件として、ハヤカワ五味さんが手掛けているD2Cランジェリーブランド「feast」の事業売却に成功。ユニークなのは、売却益の一部はNPO法人に寄付したことだ。

前編では「そもそもソーシャルM&Aとは何なのか?」について話をしていただいた。後編では、「自分は凡庸だ」と語る布田さん自身のパーソナリティにフォーカスを当てている。布田さんの「オモロい」の源はどこなのか、話を伺っている。

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何か、「オモロい」ことはないか

大学院を卒業し、布田さんが就職先として選んだのは、様々な産業の見本市を主催する会社だった。初年度から優秀な成績をあげていたのだろうと思っていたが、布田さんは笑って首を振る。

布田 尚大さん(以下、布田)「仕事ができなくて、毎日怒られていました。タスク管理がすごく苦手だったんです。社会人としての自覚も足りませんでした。それでも在籍していた会社はいわゆる成長フェーズで、『提案すれば売れる』状態でしたから、少しずつ実績を積んでいくことができました」

プライベートでも様々な社交の場に顔を出すなど、充実した社会人生活を送っていた布田さん。しかし社会人4年目を迎えたとき、転機が訪れる。

布田「社会人4年目のときに、当時付き合っていた彼女にフラれました。それから彼女が付き合った人がDJをやっていて。周りを見渡すと、僕のように『遊びも仕事も頑張るサラリーマン』って結構多くて、僕も何か『オモロい』ことをしなければと思ったんです」

そこで布田さんが出会ったのが、ソーシャルデザインという考え方だ。営利的な事業を志向しつつ、やればやるほど社会貢献にも繋がる。そんなビジネスモデルの在り方に、布田さんは美しさを見出したという。

布田「最初に僕の頭に浮かんだのは、幼少期に遊んでいたカードゲーム『遊戯王』でした。複数のカードを組み合わせる『コンボ』によって、一瞬で相手を倒せるというゲームの仕様があります。
ソーシャルデザインも、僕の中でそんなイメージがありました。これまでにない要素同士を繋げることによって、驚くほどの力が発揮され、問題がスッと解決していくんです」

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