すべての起業家に出口を示す。GOZENが見据える美しい経済のナガレ(GOZEN代表 布田尚大さん・前編)

フレームワークだけでなく、自分の感性を大事にする

(GOZENのブランドビジュアル。画家・湯浅万貴子さんによる制作)

そもそもM&Aは、一般の人々に馴染みが薄い。商才ある一部の経営者だけが、M&Aによって売却益を得られるといったイメージだ。だが布田さん曰く、それは一面的な見方だという。

布田「一般的にM&Aって、『時間を買う』とか『既存事業とのシナジー効果を狙う』とか、そういったイメージを持たれていると思います。実際のところ、これまでは何かしらお金に換算して、価値が測られてきました。逆にいうと、ブランドへの思いとか、創業者の熱量とか、お金に換算できないものが過小評価されてきたように僕は思うんです」

お金に換算できないけれど価値がある。では、布田さんはどのように「価値がある」と判断しているのだろうか。

布田「案件を精査する際、他の会社と同じようにマーケティングのフレームワークを活用することもあります。
一方で、自分の感覚も大事にしているんですよね。経営者の熱量が、社会や文化に対してどう貢献していくのかとか。売却先の起業で、どんな化学反応を起こすだろうかとか。必ずしも経済効果だけで良し悪しを判断しているわけではないんです」

気候変動や食糧危機、安全保障など様々な課題を抱えている社会。企業だからこそ変化をもたらせる側面もあるはずだが、残念ながら、経営のメインイシューとして語られていない印象がある。

布田「いまでこそ企業は、『サステナブルレポート』も発信するようになりました。ただ、多くは財務諸表などのファイナンシャルレポートとは切り離されています。
僕は、こういった企業価値を測る尺度が、もっと統合的に捉えられるようになるべきだと考えています。その方が同じベクトルに向かいやすくなると思うし、投資家などのステークホルダーにも分かりやすいですよね。どのように統合するかは難しいテーマですが、これからの尺度のあり方には、引き続き興味を持ちながら考えていきたいです」

参考 GOZENGOZEN

(Photo by Momoko Osawa)

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