いっぱい(ふつうエッセイ #418)

「いっぱい」という言葉は、小さな頃から馴染みあるものだ。

おもちゃがいっぱいある、ご馳走いっぱいだね。ポジティブな表現として使われがちだけど、必ずしもそうではないのかもしれない。

お腹がいっぱいになったら、動けなくなる。情報量がいっぱいになったら、頭で処理できなくなる。両手いっぱいのプレゼントは、相対的にどれも価値が下がるものだ。

いっぱいに、ならない方が良い。

少しくらい「足りない」方が良いこともある。「足るを知る」と考えた先人の知恵を、侮ってはいけない。