風が強い(ふつうエッセイ #401)

※最後に、ガッカリするオチが挿入されるエッセイです。

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窓に容赦なく吹き付ける風。

ゴゴっという風圧に、ベランダに干している洗濯物が気になってしまう。大丈夫、細心の注意を払って、洗濯物が飛ばされないように配慮したはず。そう思っても、想定を超えた風の強さにビビってしまう。

かといって、家の中で干すようなスペースもない。

浴室乾燥のような設備は、我が家にはない。家から徒歩3分のコインランドリーに足を運ぶような時間でもないし、とりあえず、このまま放置しておく。

でも、そういえば、なぜ風は「強い」なのだろう。

風が大きいとか、風が重いとか、風がすごいとか。そういった言葉で表現しても良いはずだ。(ちなみに英語には「fresh breeze」という疾風を示す言葉もある)

風がすごいと表現する人もいる。彼らにとっては、なんだってすごいのだ。納豆すごい。マクドナルドすごい。コロナすごい。もっと「すごさ」を強調するとしたら、「今日の風、オニヤバイね」とか。

オニヤバイって、オニヤンマを見つけたときの方が興奮すると思うけれど。それはさておき。

強い、弱いは、何となく屈強かどうかみたいなイメージがある。しかし平たくいえば、「ふつう」に、モノのレベル感を表すときの言葉として使われる。

確かに、昨夜の風は「強」かった。

でも、そうだな。体感的には、凶暴だったとか、荒れていたとか、そういう表現の方が向いていたような気がする。今宵の風、凶暴につき。“凶”の漢字の「×」が、暴れられて困ってしまうことを如実に示していて、凶暴な風はとても怖い!今シーズンは、首都圏に強い台風がきていないので忘れてしまっているけれど、本当に凶暴な風は、家すら吹っ飛ばしてしまうから。それは「強い」風くらいのレベル感で語るのは無理があるよなあとも思ったり。

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しばらく風の強さにどうしたものかと思っていたのだが、風の音の合間に、車の騒音なんかも聞こえてきた。

あ、ちょっとだけ窓が開いているやん!

それゆえ、風の音が室内にいながら聞こえていたのだ。その証拠に、窓を閉めたら静かになりました。

昨夜の風、そんなに「強」くなかったかもしれません。