読まない本は積むだけで(ふつうエッセイ #44)

本を買い過ぎる問題。

書店でも、古本屋でも、Amazonでも、メルカリでも、とにかく僕は本をたくさん買っている。図書館もよく利用している。実際のところ、全く本を読まないという日はない。

だけど、買ってきた本を全て読んでいるかと言えば、そんなことはない。自慢ではないが(本当に自慢ではない)、1ページすら読んでいないということもある。それらの本は、いわゆる「積ん読リスト」として、文字通り高く積まれているわけだが、読むか読まないかと言えば、いつまでもどこまでも読まないことの方が圧倒的に多い。

困ったものだと思う。

一方で、本を積んでいるだけで、何だか賢くなったような気がするから不思議だ。

投資の本、哲学の本、宗教の本、天体の本、物理の本、古典小説……。ベンチャーキャピタルから投資を受けたこともないのに(受ける予定も資格もないのに)、何だか投資家に認めてもらった感覚がある。

気前の良い性格だと思うけれど、ほんの少しだけ、物事の敷居が下がっているのは事実だ。苦手なテーマも、手元に本があるだけで、理論武装ができている気がするのだ(重ねて言うが、読んでいるわけではない)。

そんな気のせいを、1つずつ(1冊ずつ)積み重ねていった結果、現在の「僕」という人間が形成されている。

そんな自分が、けっこう好きなのだ。