創作意欲は衰えない。どんな環境でも全力で仕事を楽しめる秘訣とは?(イラストレーター Ricco.さん・後編)

関わる人とのコミュニケーションを大事にする

身近でRicco.さんを見つめるGovoさん。改めてRicco.さんの魅力を尋ねると、「ギフト」という表現を使い話してくれた。

Govo「どんな仕事でも、お客さんに喜んでほしいという思いがベースにあるんだと感じます。収益に見合うかどうかはいったん置いといて、まずは歩み寄るというか、関わる人とのコミュニケーションを大事にしています。
似顔絵マシーンもそうですけど、色々な場所に繰り出して、色々な人たちと関わる機会をたくさん作る。そうして仕事の輪が広がっていく。商品やサービスを提供するというより、ギフトを贈っているような感覚だと思うんです」

ギフトのような仕事。理想的だが、それは決して楽なものではない。
真夏や真冬の稼働もある似顔絵マシーン。気温が35度を上回る海岸で開催されたイベントでは、400人近いお客さんが、似顔絵を描いてもらうために列をなしたという。もちろん箱の中に、エアコンはない。

Govo「考えてみれば、似顔絵マシーンは劣悪な労働環境ですよね。なのに彼女はいつでも楽しんでいるし、全力でお客さんを喜ばせようとするんです。
似顔絵マシーンは、最初にお金代わりのカードを箱に挿入します。証明写真機の真似なんですが、似顔絵マシーンの場合は、Ricco.が箱の中から手動で引き取るんです。機械みたいにシュッとカードを引き取ると、お客さんは『え!』って驚いてくれます。
それって別にやらなくても良いじゃないですか。似顔絵マシーンの価値は、あくまで似顔絵ですから、カードを引き取る動作にこだわる必要はありません。でも、彼女はそこにこだわる。それまで400人描いていようが、401人目のお客さんのときも、変わらずシュッてカードを引き取るんです。僕の知る限り、Ricco.がこの動作をサボったことは一度もありません」

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