「笑うと、えくぼが出るんだ!」喜びを生み出す似顔絵マシーンを7年間続けている理由(イラストレーター Ricco.さん・前編)

好きだから、仕事は断らない

大学卒業後、イラストレーターとして生計を立ててきたRicco.さん。明確に将来を見据えていたわけではなかったという。

Ricco.「お恥ずかしい話、将来のことはあまり考えていませんでした。きっちり計画して『これをやろう!』というのが苦手なんです」

Ricco.さんは、どんな仕事も断らない。
仕事の中には、使ったことのない画材や描いたことのないトーンを指定されることもあったそうだ。不安はなかったのだろうか。

Ricco.「私、好きなんですよね。画材もどれも大好きだし、色々なタッチの絵を描いてみたい。昔から『これ』というこだわりは特になくて。色々なものを混ぜて作るのも楽しくて、絵に切り絵を取り入れたりだとか。いつも遊びながら、あれこれと試しています。
最近だと『iPadで絵を描いてください』というオーダーがありました。『たぶん、できます』と言ってから本格的にiPadを触り始めました。『こんなに早く描けるんだ』『描いたものをスキャンしなくて済むんだな』といった発見がありました。
未知だった仕事をやってみることで、レパートリーが広がっていきます。こだわりに固執していたら、iPadの便利さに気付くこともなかったと思いますね」

オーダーされて描く絵と、自分の意思で自由に描く絵。Ricco.さんにとって明確な区別はない。「好き」は何より強みになると、取材を通して何度も実感した。

(Photo by Momoko Osawa)

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