割り箸、つまようじ(ふつうエッセイ #139)

ちょっとだけ忙しかったウィークデイに、コンビニ弁当を購入した。

いそいそと割り箸を取り出す。すると、スルッと何かが地面に落ちた。

つまようじだ。

つまようじの起源はかなり古くて、口腔衛生のための道具だったと言われている。今は歯ブラシがあるので昔ほど「口腔衛生のため」という感じではないが、こっそり歯に押し当てている方も少なくない。

コンビニ弁当とは、コンビニエントな弁当のことで、時間がないときにサクッと食べられる利点がある。時間がないということは、歯を磨く時間もない。だからこそ、つまようじは割り箸に同梱されている。

理にかなっている。

同梱というと「割り箸のおまけ」みたいに思われてしまう。でも、むしろ同等以上の価値を見出している人もいるはずで。

衛生的かどうか、は問題ではない。

美しく、理にかなっているのだ。

きっと未来永劫、コンビニで渡される割り箸には、つまようじも同梱されていくはずだ。つまようじのない割り箸なんて提案したならば、きっと業界団体から激しく抵抗されてしまうだろう。

そんな業界は、存在しないのだけれど。

僕はどんなに忙しくても、歯ブラシを使うのだけれど。