長時間のご利用はご遠慮ください(ふつうエッセイ #108)

コロナ禍が長期化しているが、ときおり、カフェで「長時間のご利用はご遠慮ください」という掲示を目にする。

気持ちは分かる。

滞在時間が長ければ長いほど、コロナウィルスへの感染リスクは高くなる。また、もし自分がコロナウィルスの感染者で場合、利用時間に比例して他人へと感染させてしまうだろう。(あまり考えたくはないけれど)

そもそも感染リスクがどれだけ高いのか、という意見もあるだろう。だけどそれはイシューにはならない。社会の中でお店を出す以上、全方位へそれなりに配慮する姿勢を示すのは当たり前のことだからだ。

なので前提として、こういった掲示が妥当であることは理解している。

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それでも気になってしまうのは、カフェの存在意義と相反してしまうからだ。

例えばスターバックスは「サードプレイス」という文化を作ってきた。家でも職場でもない、第3の場所。時間を忘れてゆっくりと寛げる空間を、彼らは大切にしてきた。

スターバックス以外のカフェも、似たような思いを持っていることだろう。コロナ禍とはいえ、それに反する掲示をしなければならないのは無念のことだろう。

発想を変えて「長時間のご利用はご遠慮ください」以外のテキストはどうだろうか?もうちょっとポジティブに、新しい文化を作るような提案を考えてみる。

ジャストアイデアだが「短い時間でも構いませんので、気軽にお立ち寄りください」というのも良いかもしれない。「長時間じっくり」の対比として、短時間でサクッとをお客さんに提案してみる。

短時間でリフレッシュできるようなメニューを、新しく作っても良いかもしれない。

もしかしたらお客さんが喜ぶのは、10分くらいでスマホがフル充電できるような急速充電の電源かもしれない。そういったメリットを仕掛けてみてはどうか。

こんな時代だからこそ、発想の転換でネガティブからポジティブを生み出していきたい。そんなジャストアイデアを、じっくりとカフェで考えたいところなのだけど。