気持ちの良い挨拶(ふつうエッセイ #102)

気持ちの良い挨拶ができる人は、少ない。

気持ちの良い挨拶とは、要するに「おはようございます!」と言うだけだ。それでも、なかなか理想的な挨拶に遭遇することは少ない。

そもそも僕も気怠げに「おはようございます……」と言っているわけで、挨拶についてアレコレ語る筋合いはないのだが……。

*

もしかしたら、だいたいの人にとって、挨拶とは「される」ものになっているのではないだろうか。

異論もあるだろう。

挨拶する機会は至るところにある。家族や同僚に対して、接客業であればお客さんに対して。いつも声を掛けているのは確かだ。

だけど、それらは形式的であり、ちょっとした自動運転的だったりする。相手の目を見ていなかったりするし、腹から声も出ていない。

そういった意味で、気持ちの良い挨拶ができる人は少ないと、僕は思う。

*

だからこそ気持ちの良い挨拶ができる人を、素晴らしいと思う。僕が入居しているコワーキングスペースでは、ひとりだけ、綺麗な挨拶をしてくれる女性がいる。(ひとりだけ、と言うとそれまた誤解を招きそうだが、その人だけは別格的に素晴らしい挨拶をしてくれる)

その女性は、普段の振る舞いもキビキビしていて、なんかこう、背筋がピンとしている。キャビンアテンダントのようなプロフェッショナルな振る舞いではないが、とてもナチュラルで、「場」にいることによって安心感を与えてくれる。

挨拶ひとつで、こんな風に印象が変わるなら、僕も気持ち良い挨拶をしてみようと思う。だけど……眠いんですよね、特に、朝は。

何事も、習慣にするまではエネルギーが要るもの。来年の目標は「気持ち良い挨拶をする」一択かもしれないなあ。