ユーミン 愛の文法!(松金里佳さん #3)

この前のお休み、友だちと3人で車で海に出かけました。その友だちとの出会いは大学入学時の健康診断です。わたしたち3人は、趣味も性格もまったく異なる方向を向いていて、服装などからもその違いが見て取れます。そのため、まわりの友だちから「へんてこなグループだよね」と言われたり、「なんでそこは仲良いの?」と不思議がられたりします。共通点は「餃子とビールが好き」くらいで、音楽の趣味もぜんぜん合いません。だから車でかける曲は悩みどころ。

しかしこの前、見つけました。わたしたちにとっても、「みんなのもの」でいてくれた曲、それはユーミンです。今日はそんなユーミンの「守ってあげたい」(1981)について書きたいと思います。

言いづらくなる ‘Cause I love ~

「守ってあげたい」のサビには、‘Cause I love you. という歌詞が出てきます。わたしはこの歌詞が好きです。I love youの前に ‘Causeを付ける。「だって、好きだから」という気の持ち様は、ユーミンのまっすぐさが伝わる言葉遣いだと感じます。

しかし、「だって、好きだから」という言葉について改めて考えてみると、わたしにとっても、世の中を見渡してみても、最近言いづらい言葉になってしまっているのではないか、と感じています。

例えば、この前ドラッグストアに行った時のこと。
シャンプーの広告に「幸せホルモンが〇〇%上昇した香り!」という謡い文句を目にしました。本来、香りというものはじぶんが好きだと思えるものこそ、癒しをもたらしてくれるものです。しかし、嗅覚という感覚によって判断されるものですら、数値化された情報をもとに左脳の判断に託している。
そのシャンプーがもたらしてくれる癒しは決して否定されるものではありません。
ただ、そのコピーがワークする背景には、じぶんの「好き」よりも、みんなで見つけた「正解」を求めている。そういった人の気持ちがあるのだと感じます。

また、仕事の選択についてもそのように感じる瞬間がありました。
いま新卒の就職活動では、コンサルが人気を集めているそうです。その理由について、わたしが読んだ記事には「どんな企業も安定とは言えない今、じぶんの市場価値を高めておけるから」と書かれていました。
「好きなことを仕事にする」のはいつの時代にも勇気のいることだと思います。しかし、いま就活を控えている世代にとっては、はなからその選択が抜け落ちつつあるのかもしれません。
(しかしもちろん、コンサルという職業に目指したい姿を確かに抱き、その姿に向かって邁進されている方もたくさんいると思います。わたしの周りにもそんなすてきな友人がいます!)

そして、これまで挙げてきた価値観の変化が顕著に見られるのが恋愛だと感じています。ニュースで「若者の恋愛離れ」が特集されていたときのこと。恋愛をしない理由に「コスパが悪い」「時間の無駄」といった言葉が挙げられていました。好きな人と過ごすことすら、その価値をお金や時間で計ってしまう。その事実にハッとさせられました。

「だって、好きだから」だけでは周りのことも、そして、もっと言うと、じぶんのことも納得させられない。例にあげたような瞬間から、そんな気持ちが至る所に広がっているようにわたしは感じています。

1 2