みかんの季節(ふつうエッセイ #54)

みかんが好きな人も嫌いな人もいると思うけれど、僕はみかんが大好きだ。

おそらくポピュラーな果物という認識なのではないかと思うけど、なぜみかんは、ここまでポピュラーな果物なのだろうか。理由を考えてみる。

①味

甘さと酸っぱさが同居し、絶妙なバランスを保っている。これがもうちょっと甘すぎていたら(あるいは酸味が欠けていたら)、食べる量はせいぜい1,2個程度に留まってしまうだろう。

②大きさ

手のひらに収まるサイズ感で、大人も子どもも手頃に食べることができる。Sサイズ、Mサイズ、Lサイズ、LLサイズという感じで「選べる」仕様になっているのも嬉しい。僕はMサイズが好きだ。

③色

みかんが赤かったり、青かったりしたら、お茶の間で目立ってしまう。りんごのような主役感は、みかんには似つかない。和洋どちらのインテリアにもマッチする「黄色」は、声高に主張しない。特に木製のテーブルに合う。「こたつでみかん」という昔ながらのライフスタイルはもはや憧憬ですらある。

④アクセスのしやすさ

冬になると、どのスーパーでもみかんを販売する。割高な高級みかんもあるけれど、8個入りで398円というお手軽な価格帯も嬉しい。(ちなみ僕は今日、10個入り280円で購入した)

⑤名前

みかん、というネーミングが良い。「オレンジ」よりも「みかん」の方がチャーミングだ。しりとりでは絶対に出てこない単語、みかん。発話しやすいことで親しみも深まる。

⑥食べやすさ

包丁を使う必要がないというのは、かなりアドバンテージが高いポイントだ。りんご、柿、すいか、メロンなどには決して許されないアドバンテージである。しかも力を入れる必要がない。子どもでもスルスルと皮をむくことができる。この点もみかんの素晴らしさを語る上で欠かせない観点だと僕は思う。

実に凡庸な見解のような気がするが、①〜⑥の各項目のポイントが恐ろしく高いというのが、みかんの特徴ではないだろうか。みかんを食べたい。ずっと食べていたい。

なのだけど、みかんは、冬が過ぎたら高級品になる。みんな、7ヶ月間くらいみかんのことは忘れてしまう。あんなに好きだったのに、不思議なものだ。

いや、実は不思議なことは何ひとつない。みかんの季節が終わるとき、あいつが存在感を増すからだ。

みかんの永遠のライバル、いちごである。

お気付きだろうか。いちごも①〜⑥をしっかりと高いレベルで満たしている。いちごの魅力に気圧されず、みかんと向き合う冬であってほしい。いちみかんファンとして、切に祈っている。