ここ数日、家族が寝静まった夜に、軽くジョギングをしている。
家の周りをぐるっと1周するだけなのだが、どうしても気分が乗らない。走っては歩き、走っては歩きの繰り返し。10分くらいで走れるジョグに30分も費やしている。
だったら走らなければ良いのに、それはそれで自分を甘やかしているような気がする。重い身体を何とか前へ引き摺っていく。
柄にもなく、色々なことに悩んでいる。
会社を創業したばかりなので、そりゃ悩みも尽きないのは当然なのだが、それにしても小さなことでクヨクヨ悩んでいる。その心を月夜は見抜いているのだろうか。真っ直ぐと月明かりが差してくる。
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第89回アカデミー賞の作品賞を獲得した映画「ムーンライト」。
主人公のシャロンは、貧困、いじめ、性自認、親のネグレクトなど様々な類の逆境で悩み、苦しんでいた。
20歳に満たない高校生にとって、あまりに凄惨な状況だ。それでも周囲との関わりの中で、少しずつ彼はアイデンティティを自覚し行動するようになる。
映画では、月が、彼のアイデンティティを照らす象徴的なモチーフとして使われている。
月が現れるのは闇夜だ。太陽光の方が力強いのだが、闇に一筋の明かりを照らす月はとても優しい。
迂闊にジェンダー論を刺激はしたくないのだが、それは、母性的とも言える。
月明かりの下で、少し肌寒い10月の夜に祈ったことは。不思議なことに、一夜明けると、あんまり憶えていないんだよなあ。