完璧さは求めない。コツコツ時間をかけて利賀村のファンを増やしていく(利賀村ランニング合宿・後編)

持続的に魅力を届けられるか

同時に、来住さんは今後の課題も見据えている。

「今回は細かいスケジュールまでは調整しませんでしたが、人によってランニングを楽しみたい人もいれば、地域のことを知りたい人もいる。細かいニーズの違いに今後どう応えていくか。今回はコロナ禍のため、地域の人たちとの交流は限られていましたが、今後地域との接点をどう作っていくかは課題になります」

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筆者もその課題には同意する。

利賀村を訪ねる先に地域でお金を使うこと、合宿後も、利賀村と離れた場所から、利賀村の野菜や食べ物などを購入してもらい経済的な意味での地域活性に繋がるかといった点は、この合宿の開催意義としても重要になる。

須河さん自身「地域に滞在することでファンを増やしたい」と話すだけに、そういった継続性に対してどんな仕組みを作っていくのだろうか。

もう一つ筆者が気になった点は、須河さんが競技活動と両立して地域貢献活動を行っていることだ。もちろん、デュアルキャリアのようなあり方がアスリートにも求められる昨今、それ自体は特異なケースではなくなりつつあると思う。だが本心のところで、本人は負担に感じていないのだろうか。

時間の制約がある中でどれだけ形にしていけるか、事業として持続的なものにしていけるかが次のハードルになる。そのことを須河さんにぶつけてみた。

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