酔いが進んで(ふつうエッセイ #603)

実家に帰って、晩酌を楽しむ。

息子が両親たちと遊んでいる間、そそくさと文庫本を読んで寝室へ。数ページめくっていたら、あっという間に眠ってしまった。コンタクトを装着しているなんてお構いなし。「ああ、だめだ、まだ風呂にも入っていない」と頭の片隅で感じつつ、意識が落ちた。

普段、僕は晩酌をしない。

晩酌をすると、ふと眠りに落ちてしまう。眠りに落ちる瞬間は心地良いのだけれど、目覚めは悪い。だから飲み会など、外で飲むとき以外は酒を控えるようにしているのだ。

この日は、東京の自宅を離れたので、ビールを2杯ほど飲んだ。ひと仕事した後のビールの味は格別だ。みんな幸せに笑っている。酔いが進むのも、悪くない。だから安心して眠れたのだと思う。

5月1日、1本原稿も提出することができた。悪くない。

今年のゴールデンウィークも、ちょっとばかり仕事にまみれそうだ。でも、悪くない。何かやるべきことがあるというのは、幸せなことだ。誰かが、僕の原稿を待っている。その期待に、せいいっぱい応えたい。

柄にもなく、そんなポジティブな気持ちで新しい月を開始している。