ハンカチという万能選手(ふつうエッセイ #166)

情けない話で申し訳ないが、僕は年に40回くらいハンカチを忘れてしまう。

どんなときに気付くかというと、無論、用を足した後だ。しかも手を洗ってジーンズのポケットに手を伸ばしたとき「あっ!」と気付く。

遅すぎである。

気分がげんなりしてしまうことは日々たくさんあれど、ハンカチを忘れたときのダメージは相当デカい。その日は、ずっとトイレでもたもたしなければならないからだ。しかも昨今のコロナ感染防止対策の影響により、ハンドドライヤーが使用停止になっている。打つ手なしだ。

そこまで気分が落ち込むのであれば、コンビニでハンカチを購入すれば良いのではないか。しかし年に40回も忘れる身である。ハンカチ1枚500円だとして、年間2万円の出費だ。Netflixなら20ヶ月まるっと楽しむことができる。何よりサステナブルに反している。

「ハンカチを忘れたとき」でググってみると、手を振って自然乾燥させるなど心許ない代替案がたくさん出てくる。「除菌シートを使う」というのは盲点だったので、今日はそれで凌ごうと思う。

でもね、ハンカチって、自分でも想像していないときに必要になったりするんですよね。

そもそも除菌シートだと力不足だ。量も限られているし、ゴミになってしまうし、身体を拭くには抵抗があるタイプもある。

考えてみると、ハンカチは万能だ。汚れても洗えば良いし、ゴミにならないし、何だって拭くことができる。ポケットに収まるし、ポケットに入れたまま洗濯したとしても大丈夫。

ハンカチみたいな人間になりたいな。なんて思ってしまうけれど、ハンカチはハンカチなりに生きづらさを感じることもあるのだろうか。きっとあるだろうな、「何でもかんでも拭きすぎ!」って。ちゃんとご自愛してほしい。

さて、ハンカチのことに思いを馳せていたら、あっという間に午前中が終わってしまいそうだ。仕事は山のように溜まっている。

ああ、時間を無為に過ごしてしまった!

そんな小さな後悔も、ハンカチはきっと拭ってくれるだろう。(ね!)