政治家の本性が見える
選管では、候補者や事務所との調整も仕事のうちだ。
選挙期間中は彼らから何度も電話がかかってきて、その都度、必要な調整を行なうという。
「対応が丁寧な政治家もいるけれど」。前置きを挟み、Aさんは語る。
「中には選管に対して、無理難題を要求してくる候補者もいる。もちろん名前は言うことはできない。でも少なくとも、私はその候補者には投票できない。いくら外面が良くても、彼らは「そういう態度」で政治に臨むだろう。そんな人のことを、信頼することはできない」
有権者の代理人として選ばれる政治家にも関わらず、政治家との距離は遠い。密な関係性を持たない分だけ、僕らはフラットに政治家の善し悪しを判別することができる。(それが良いか悪いかは別にして)
だけど選管で働く人たちは、政治家の粗悪な本性にも直面しなければならない。
「この政党に投票しようと思ったけど、政治家の姿を見ていると、彼らには絶対投票できなくなってしまう」
情報が多ければ多いほど、そのジレンマの深さに気が遠くなるのだという。報道によって作られる政治家のキャラクター。それは一面にしか過ぎないことをAさんはよく知っている。