アスリートと地域貢献を両立。プロランナーが地元でランニング合宿を開催する理由とは?(利賀村ランニング合宿・前編)

ランニングを通じて、地域の魅力にふれる合宿

7月31日、関東や関西、それぞれの地域から30名弱のランナーが集まったTOGA SUMMER CAMP。須河さんの挨拶から始まり参加者の自己紹介が行われた。集まったのは、プロランナーやフルマラソンを2時間40分で走るシリアスランナー、トレイルランナー、最近走り始めたという人まで様々なバッググラウンドを持つメンバーだった。

初日はクロスカントリーを10〜20kmほどを走り、2日目はロード組とトレイル組に分かれてロードは1km×10本のインターバル、トレイルは金剛堂山という山を走り、最終日の朝に参加者全員で駅伝を走る。まさにランニング漬けの3日間だ。

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利賀村での時間を過ごす中で、地域の魅力にも触れていく。

1日目の夕方は、南砺市にある世界遺産の五箇山合掌造り集落を訪れた。夜にはジビエ猟師をしている宿泊先の旅館「瑞峯」のご主人による講話が行われた。ジビエ猟師が本職ではないものの、長年、熊や鹿などを獲り続けてきたという。

人口500人程度という小さな村でありながら、利賀村に多くの魅力を感じることができた。主催者の須河さんは、どうして利賀村にランナーを呼ぼうと思ったのか。そもそも、なぜランニング合宿という形で、地域の魅力や人々に触れる機会を作ったのか。

それらを須河さんに尋ねると、利賀村で生まれ育ったストーリーを話してくれた。

「利賀村で生まれて育ちましたが、富山市内の高校に進学する段階で実家を出ました。それから大学、実業団……と人生の半分は地元にいないことになります。自分は地元にはいませんが、プロランナーとして活動する中で繋がった人たちを地元へ呼んでくることはできる。昨年、長野県売木村で行われたランニング合宿に参加した際に、自分の地元でもできるのではないかと思いました。HIS関西支社の来住裕也さんに協力を得ながら開催しました。「地方創生」という大それたことをやっているつもりはないけど、利賀村の魅力をPRしてファンになる人が増えたら、と期待しています」

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