綺麗事ではない、商売の厳しさについて
店主の福山さんには、Bakery Branの後片付けをしながら取材対応してもらった。
僕が聞きたかったのは(あるいは引き出したかったのは)、商売する上でBakery Branが大切にしていた理念や想いのこと。
だけど、それは裏切られた。
福山さんが話してくれたのは、理念や想いではなく「商売の厳しさ」だった。
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例えば営業について。
「今、僕は鎌倉に住んでいるんだけど、毎朝車で2時か3時に入って仕込みをしてたんですよ」
パン屋は重労働とは聞いていたが、当たり前のように仕事中心の生活だ。19時に寝て、深夜に起きて、車を走らせて仕込みをする。そんな生活を35年間繰り返してきた。

「パンの専門学校に入って、いくつかのパン屋で修行。27歳で独立しました。修行当時は、16時間労働は当たり前という時代で、なのに給料が安かった。だから必死をお金を貯めて独立する人が多かったんです」
「高卒でどこか勤めても大した給料じゃないでしょう?普通の会社の重役くらいは稼げるから、売れると。それは原動力になったね」
「でもうちみたいな狭い店でも、初期投資で2,000万円かかります(機械で1,500万円、内装で500万円)。借金が何だとかいうと、それは負わなくちゃいけないですけど」
借金……
なかなか重い言葉だ。
「融資はもう何回も。数えきれないくらい。返しては借り、返しては借りてっていう感じでした」