B級品(ふつうエッセイ #667)

B級品という言葉がある。

「わけあり商品」ということもいわれるが、商品には「A」と「B」があるという表れでもあって、あまり好きな言葉ではない。展示している中で、思いがけず傷がつくこともあるだろう。僕はものによっては、多少の傷がついて安くなるならOKだと考えるタイプだが、「B級品」と命名されると購入を躊躇してしまう。

先日は、駅前の八百屋でも、店先のパイナップルに「B級品」というラベルが貼られていた。199円だったか、299円だったか忘れてしまったが、まあ、安い方ではある。しかし、これから口から食すにあたって、「B級品」を食べるのは嫌だなあと思える。(結局、買わなかった)

見切り品とか、おつとめ品とか、色々な表現がある。

基本的には同じ意味があてられるわけだけど、やはり言葉の使い方によって、その人の思想というか、考え方のスタンスのようなものが見え隠れする。

アルバイト社員に業務を任せるときに「バイトにやらせなよ」という感じで話す経営者や上司に、「ひと」という人的資本を高められるとはとうてい思えない。

あなたの会社にも、そういった「呼称」のようなものがあるのではないだろうか。その「呼称」は、知らず知らず、相手を貶めているような響きはないだろうか。

職務の難易度の高低はある。当たり前のことだけど、任される人間 / そうでない人間があったとしても、人の価値の上下につながることなんてないし、それしきのことであってもならない。経営者は確かにリスクをとる存在だ。でも、リスクをとらない(ように見える)人のことを軽く扱ってはいけないのだ。

お笑いコンビのCOWCOWは「あたりまえ体操」というネタを持っている。彼らのネタは、本当〜〜〜に当たり前のことだけ披露されるけれど、上述のことも「あたりまえ」としてネタで扱っていただけないか。


そりゃそうですよね!
当たり前だよね!
前がおかしかったよね!

なんていえる社会は、なかなか来そうで来ないんだよな。