テレビやスクリーン、舞台の上で輝きを放つ俳優。あまりに縁遠い世界で、彼らが普段、どんなことを考えているのか想像もつかなかった。
黒澤さんに取材をして、「やりたいことをやる」という仕事観の危うさに気付いた。もちろん自分の強みや特性を理解することは大事だし、限りある人生を「やりたいこと」に費やす人生も正解には違いない。けれど、時にそれは偶然の出会いを失くしてしまう。「実はこの仕事が向いていたんだ」と気付くことができないのは、それはそれで惜しいことだろう。
「私は俳優の仕事を続けていける」という確信を得られたのも、黒澤さんがコロナ禍でじっくりと自分を見つめ直したからだろう。走りながらだと気付けなかった「この役は私にしかできない」という言葉は、いまも印象に残っている。
黒澤さんは、これからどんな作品を作っていくのだろう。とても楽しみだ。
（Photo by Momoko Osawa）
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