楽しいよふかし(ふつうエッセイ #89)

昨夜、少しだけ夜更かしをした。

残業したり、息子にミルクをあげたりする目的以外で、のんびりと夜更かしするのは久しぶりのことだ。お酒は飲まなかったけれど、白湯をすすりながらソファに座ってテレビを観る。

ああだこうだ、出演者に向けてつっこみを入れる。

つっこみの内容は、お世辞にも行儀が良いものではないけれど、ささやかな内的興味を満たしてくれるエンターテインメントが有難い。

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そのせいで、今日は寝不足だ。

打ち合わせはなく、ひたすらパソコンに向かって作業すれば良い。それほど仕事に支障が出ないし、多少であれば明日以降で挽回可能なので、まあ良しとさせてもらえたらと思う。

でも、不意に過ぎるのが、楽しい夜更かしが「できない」人たちのことだ。

例えば保育士。常に子どもの安全に注意を払いながら仕事にあたらなくてはならない。子どもはいつだって大人の想像を超えるイレギュラーな動きをしたがるものだ。彼らを無事に、保護者にかえすことが責務なのである。

もちろん保育士だって、多少の夜更かしくらいはしていると思う。

「多少」と書いたけれど、僕なんかとは違って、翌日のことに気を遣いながらの夜更かしであることは間違いない。友達と飲み会があっても「飲み過ぎちゃった」なんてことはできない。(本来、翌日の仕事に支障が出るほど飲み過ぎるのは、どんな職業であれプロ失格なのだけど……)

自分を律して、日々の暮らしを管理すること。

そういった人たちの仕事のおかげで、僕の夜更かしは成立している。感謝しないといけないだろう。

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でもやっぱり、みんなが、楽しい夜更かしができるようになれば良いなと思う。

夜を更さなくても、楽しい早起きであっても良いんだけど、夜が更けていくのをぼんやり過ごすのも人生において大事なことだと思うのだ。何かの折に、フィジカルに夜を更すこと。

たっぷり時間を使うことで、消化できる「想い」もあると思うのだ。

時間のあり方には、いつだって敏感でいたい。

……と言いつつ、今日はとっても眠いですね。エッセイを書き終わったら、コーヒーのお代わりをすることにします。