「考え抜く」という機会を提供し、走り出す瞬間を作っていく
勝算も将来的な展望もなかった風間さんだが、開業後は着実に業績を伸ばしている。もともと小中学生向けだった学習塾だが、卒塾するはずだった中学生も受け入れるなど、事業内容も少しずつ拡大しているようだ。
「信頼関係を作るためには、人にずっと関わることが大切です。かつて吉田松陰が松下村塾で、塾生たちをインスパイアし続けたように。ここにいる先生たちがロールモデルになって、彼らのエッセンスを伝えてもらっています」
そのような関わりを続ける中で、風間さんが重要だと感じている進路選択の仕事。ただし「子ども」である生徒たちが、自らの進路をどれだけ明確に描けるのだろうか。
「どこまで具体的に指導するかは、正直、生徒によります。大人でもそうじゃないですか?僕も今から10年後のことを聞かれると困ってしまいます。でも色々な情報を提供したり、「高校でこれがやりたい!」と言語化する機会を作ったり。生徒ひとりひとりと向き合って、彼らに考え抜いてもらう。僕らは、彼らが考え抜くためのサポートに徹しています」
風間さんの言う通り、中学生は自らの好き嫌いを把握していない。経験としてのインプットが不足しているからだ。それでも進路を考えるのは有効だと風間さんは考えている。
「進路を考えることで、生徒が次に向かって走り出す瞬間を作れると思います。納得して、選択して、ワクワクしながら走り出してくれる。そんな瞬間をひとつでも多く作りたいと思っています」
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もともと経営者という感覚で起業したつもりはなかった風間さん。事業拡大のことはあまり考えていなかったという。
しかし今は経営者として、10年先の未来を構想する時間を設けている。どのタイミングで複数の学習塾を展開するか、学力以外の能力開発の可視化は可能かなど、様々なアイデアを話してくれた。
ずっとブレていないように見えた風間さんは、進路選択を本気で考えるようになった自身の経験から、何事も「考え抜く」マインドを携えるようになった。だから「まだ迷いまくってます!」というのは本心だろう。迷いに立ち止まらず、考えながら走っている風間さんの姿に、筆者もインスパイアされてしまった。
C.schoolがこれから作っていく成功体験の数々が、今から楽しみでならない。
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