プレゼンの夢(ふつうエッセイ #652)

プレゼンする夢を見た。

そこそこ上手くいったプレゼンを、なぜかもう1回しなければならないということで、プレゼンの場に臨むというもの。夢にしてはリアルで、それなりにハラハラと緊張していた。(夢から醒めて、その感覚が残っていたのだ)

現実では上手くいったのに、夢では全く上手くいかない。かなり間が空いたこともあって、僕もプレゼンの流れを覚えていなかった。「ここで力を込めて話すんだ」というのも、声ばかり大きくて気持ちは空回りしている。お客さんは優しくて頷いてくれているけれど、これは「緊張しなくて大丈夫ですよ」とエールを送っているような頷きだ。どうも言い淀んだところで夢から醒めた。

人生において、致命的に失敗したプレゼンは2回あった。

そのうちひとつは学生のときで、周りの完成度の高さに気圧され、全く的外れなプレゼンをしてしまった。それなりに聞いてくれている方も多かったけれど、何もできないに等しかった。「堀さんがやろうとしていることは分かった」と、トイレに入ったときにフォローしてくれた方がいて、それはずっと励みというか、「Whyはかろうじて伝わったんだ」という自分なりの頼みの綱のように、離さず手元に残せているのだが。

そのときのプレゼンのことも、しばらくは夢に出てきたような気がする。あれは悪夢だったな。

プレゼンは苦手だ。苦手意識がある。

それはプレゼンそのものよりも、プレッシャーが大きく感じ過ぎるのかもしれない。そして、上手くいかないと夢に出てくるという恐怖。

ちょっとしたホラー映画よりも、よほど冷や汗をかく佳作のホラー。それが僕にとって、プレゼンの夢なのだ。「プレゼンの夢」じゃあ、映画にはなりそうもないけれど。