可能性は狭めない。コロナ禍で得た「この役は私にしかできない」という確信と、俳優としてのこれから(俳優 黒澤リカさん・後編)

「黒澤リカにやってほしい」役なら、何でも引き受ける

最後に、これからの仕事について黒澤さんに尋ねた。意外にも「特にやりたい役はない」という。「これがやりたい」という希望は、自分の可能性を狭めてしまうことになるからだ。

黒澤「オファーする監督が『この役を黒澤リカにやってほしい』と思ってくれるものをやりたいですね。オーディションでも『他の役でも良いですか?』と聞かれたら、私は喜んでお受けします。
不幸な女性の役は多いし、私に向いている自覚もあります。でも例えば、天真爛漫でエネルギーに溢れた女性の役だってやってみたい。求められている仕事をやることで、演技の幅も広がると思いますし」

黒澤さんにとって、売れることや有名になることが目標ではない。俳優として、ものづくりに込める思いを話してくれた。

黒澤「有名になることを目指すと、お芝居したい思いと一致しなくなるような気がするんです。有名になったからこそ多くの人に触れるチャンスが生まれるのかもしれませんが……。
観てもらって初めて、作品は『作品』として完成すると思っています。作品を作っても、公開されずに終わってしまったら何にもなりません。作った以上は、作品を多くの人に観てもらいたいし、多くの人に観てもらえる作品に出てみたいです」

1 2 3 4