アウトプットは苦手
課外活動を経て、自然と興味はマスコミへと移っていく。何を伝えたいかは分からなかったが、伝えたいことはあるはずと確信し、慶應義塾大学環境情報学部に進学する。やりたいことは漠然としていたが、目指す方向性は見えていた。1年次から研究室(ゼミ)の門を叩く。
「まずは伝えたいテーマと手段を考えたいと思い、インタビュー技法を学ぶことにしました。そこで出会ったのは「問い」という言葉。これまでインタビューはコミュニケーション的な感覚で臨んでいたのですが、仮説を立てて検証するというプロセスのあり方を知ることができました」
SFCで新しいことを学ぶたび、なるほど!が増えていく。
始めたのは、大学内の約180の研究室を渡り歩くこと。所属している人に声を掛けて「なぜその研究室を選んだのか?」「どんなゼミなのか?」「SFCで何がしたくてそのゼミにしたのか?」とインタビューする。学生のストーリーを聞くことで、研究室の輪郭が浮かんでくる。その結果を1冊の本にまとめて学内フォーラムで発表、入賞を果たす。
「これも小さな成功体験です。賞をもらえたことも嬉しかったですが、色々な人に読んでいただき、フィードバックをもらえたのが良かったです」
入学してすぐにアウトプットが評価された優莉さん。発信することの秘訣を聞いてみると、意外にもアウトプットは苦手だという。
「これまで自分ひとりで完結したアウトプットって、ひとつもないんです。大学のアカペラサークルでも、最終的に歌を披露しましたが、それまでに多くの時間をかけて練習しています。アウトプットがないインプットにはモチベーションは湧きませんが、みんなで一緒に作り上げてきたものが、結果としてアウトプットになったという感じでしょうか」